書いた日: 2021年12月13日
AlphaFoldで有名なDeepMind社が多層パーセプトロンによる密度汎関数をつくりました.
水素分子イオンや水素分子の結合開裂のようなDFTの問題が解決され,さらにGMTKN55のようなベンチマークセットでも良好な結果を示します.
LinuxマシンではGithubに記載のインストール方法で簡単にDM21を使うことができます.早速,DFTが苦手な計算のひとつであるn-オクタンから2,2,3,3-テトラメチルブタンへの異性化反応の計算を実施してみました.DM21/def2-QZVPでの計算結果は-1.74 kcal/molであり,実験値から見積もられた-1.9±0.5 kcal/molと非常によく一致しました.(DFT-D3(BJ)分散力補正は論文にあるとおりB3LYPのパラメータを用いて計算)
ただ,CPUだけで計算しているのが原因のひとつかと思いますが,上記の計算に半日程度かかっており,計算にかなり時間がかかります.B3LYP/def2-QZVPだと数十数分で終わるので,DFTでこれはかなり厳しいです.また,Githubに書かれている通り,裏で動いているTensorFlowが単精度であるため,PySCFのデフォルトの収束基準まで収束させるのも難しいようです.
書いた日: 2021年12月12日
ORCA 5.0.0と5.0.1にはRace condition(競合状態)に関するバグがあるそうです.これが発生すると計算結果が不正になるので,このバグが発生する環境で複数の計算結果を自動処理(CENSOを使っているとか)していると全く信頼できない結果になる模様.
計算結果をひとつつづ確認している場合は,計算中の不可解なエネルギージャンプがなければ正しいかもしれないということですが,気になる場合はORCA 5.0.2で再計算をしたほうが良さそうです.環境依存なので,そもそもこのバグが発生しない環境なら問題なさげですが.
ORCA 5.0.2がリリースされました.バグフィックスリリースです.
先日PSI4 1.4.1がリリースされたばかりですが,PSI4 1.5がリリースされました.更新頻度が高いですね.
いつの間にかPSI4 1.4.1やGAMESS 2021 R2 Patch 1がリリースされていました.
GAMESS 2021 R2からIntel compiler 2018以前がサポートされなくなったようです.oneAPIを使えということですかね.
書いた日: 2021年10月3日
最近,遷移金属錯体の計算でr2SCANを試しているのですが,時折SCFの収束が悪く,negative HOMO-LUMO gapのWarningが出たりします.これの一番簡単な対策は%scfブロックにLevelShift 0.5を追加することです.
%scf LevelShift 0.5 end
ちなみに,たいして電子状態が複雑でなさそうな錯体でこのWarningが出るとTRAH-SCFでも収束しないことが多いです.SCFの収束が悪い時の対策はORCA user meeting 2020のORCA: Getting Startedで説明されていますが,これに加えてAutoTRAHを無効化する以下の設定が有効です.
! KDIIS NoSOSCF %scf AutoTRAH false CNVShift true LevelShift 0.5 DirectResetFreq 1 DIISMaxEq 20 end
書いた日: 2021年8月10日
8月3日にリリースされていました.いろいろ更新がありますが,細かいことはGitHub上のリリースノートを参照するのが間違いなさそうです.
書いた日: 2021年8月6日
忙しくてついでに見落としていましたが7月24日にリリースされていました.バグフィックスのみです.
書いた日: 2021年8月4日
完全に見落としていましたが6月30日にリリースされていました.富士通のA64FX対応とかM1対応あたりが大きいのでしょうか.
書いた日: 2021年7月3日
ついにORCA 5.0がリリースされました.簡単に試しただけですが,構造最適化などで2倍以上高速化される計算がありました.ORCAもDFTの積分グリッドに改良が入っていて,その効果もあるようです.なお,このために従来の積分グリッド指定キーワードは互換性がなくなりました.
また,個人的に興味があるのはONIOMが使えるようになり,DFT/xTBなどである程度大きな系も非常に簡単に(パラメータファイルの用意なしに)扱えるようになった点です.
ORCA 5.0は7月1日リリースとのことですが,PSI4もいつの間にかRC版が出ていました.新しいDFT grid pruning schemesが入っています.以前にGAMESSでも同様な改良があり,結構高速化していたので期待できます.
いよいよORCA 5.0がリリースされる模様.ORCA meeting 2020の時の話だと12月中にはリリースする感じでしたが,わりと遅れましたね.
去年はよくわからないうちに年度末が終わっていたせいか,年度末はこんなに忙しかったかという状態になっている.
書いた日: 2021年2月5日
5年ぶりくらいにページデザインを大幅に変更しました.CSS 3の丸角とか影を使ってみました.
ORCAのDFT計算だとPCIe接続のSSDでもSATA接続のHDD 4台をRAID0にしたディスクでも計算時間に差が出ないですね.もっとI/Oに負荷がかかる計算だと変わってくるのでしょうが.